2016/08/01

FF2016 Photo Library : n a n a


 [ Artist Name : n a n a ]


[ Exhibition info ] http://nanarwhal.blogspot.jp
[ Twitter ] @nanarwhal








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[ Fable of the forest - 光あるうちに光のなかを ]


[ Fable of the forest - 真空溶媒(Eine Phantasie im Morgen) ]


[ Fable of the forest - 邂逅 ]



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森の記憶 ~『 Fable of the Forest 』展  開催にあたって~


遠い記憶を遡る時___


私には昔から、時に曖昧に、時に鮮明に、眼を瞑ると思い浮かぶ懐かしい情景が存在した。


その場所が何処にあるのかも知らず、この先、再びそこに辿り着けるのかもわからず、
ただただ、焦がれ、ともすると、そんな途上を旅するだけの人生なのかもしれず、
それでもただ漠然と、いつかあの場所に還りたいのだと、私は密かに思っていた。

或る時、それは唐突に、私が望んでいたその場所が、もう既に存在しない場所だということを知った。
二度と、あの場所へと私が還ることはないのだと知った時、
なんだかひどく複雑な気持ちになった、と同時に、腑にも落ちた。
不思議と、私は心から、その事実に納得することが出来たのだ。


私のなかには、ずっと、小さな哀しみがあったから。


物心ついた頃から、得体が知れず、言葉にすることも叶わず、
いったい何に対しての感情なのか、自分でもずっとわからなかったものがある。
それが、喪失ゆえの哀しみだったと知った時、
私は初めて、自分が歩いてきた道の意味を知り、視界と思考がクリアになった。
点在していたものたちが、一筋の道として、すべて繋がったのだ。



私のなかには、森がある。

かつて、私が失った森だ。とても、美しい森だった。

その森には、哀しみは存在しない。


そこには、鮮やかな緑と光が溢れ、幸福感に満ち、気持ちのいい風が吹く。夜も瞬く。
いまはもう、目を瞑るだけでその森へと還ることができる。
そして、懐かしくその森を想い出し、無邪気に笑う、小さな私がいるだけだ。


私に、わたしの森があるように、あなたにも、あなたの森があることでしょう。


その森を思う時、私には絵を描くことしか出来ないけれど、
もしも、私の描く森の、その奥に、なにかを感じることが出来たなら、
あなたのなかにあるその森は、わたしの森と何処かで繋がっているのかもしれません。


森はあまりに広大で、幾重にも世界を内包し、近くて遠いところから、
浅く、そして深く、眼に見えるもの、見えないもの、この宇宙のすべて、
あらゆるものを受け入れて、たしかにそこに存在している。


それぞれの作家が、森を想い、森に寄り添い、森と戯れ、自分に出来うる最大限の表現で、森を創りました。
今日、この場所で、私たちの森を共有出来ることを、とても嬉しく思います。


そのことに、心から感謝いたします。


そして、この場所にお越しくださいました皆様に心よりの御礼を申し上げます。



どうか、あなたの森にも、光と風が寄り添っていますように。




 2016.07.16. n a n a.






We’ll meet again,
Don’t know where, don’t know when.

But I know we’ll meet again,
some sunny day in the forest.



Thank you, Bye bye!!!